



Windowsでは、1台のパソコンの中に、複数のユーザーごとの個別のスペースを作ることができます。
これはあくまで“擬似的な区切り”ですが、それぞれが自分のデスクや部屋を持っているような感覚で使える仕組みです。
完全なプライベートとはいかないものの、
ブラウザの履歴やログイン情報も別
他の人の作業に影響を与えない
といった意味で、パソコンを家族で安全に、気持ちよく共有するために役に立つ機能です。
この記事では、家族でパソコンを使うときに知っておきたい、アカウントの分け方と活用のポイントを解説しています。
アカウントを分けるメリット
家族でパソコンを共有する場合、それぞれがアカウントを使い分けることで、以下のようなメリットがあります。
①デスクトップやフォルダが個人用になる
アカウントを分けると、それぞれに専用の作業スペースが用意されます。
他の人のファイルと混ざる心配がなく、自分の環境として安心して使えます。
✅ 個人用になるもの
デスクトップの表示内容
ドキュメント/ピクチャ/ダウンロード/ピクチャ/ビデオ/ミュージックなどの個人フォルダ
ごみ箱の中身
⚠️ 注意が必要なもの
DドライブやCドライブ直下のフォルダは、共有なので全員に見えています。
補足:
「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」「ダウンロード」などの個人用フォルダは、Cドライブ内にあります。
これらのフォルダは、アカウントごとの“プライベート領域”としてWindowsがアクセス制限をかけていて、他のユーザーからは基本的に見えない設計になっています。
※ただし、管理者権限を使えば特別にアクセスすることも可能です。完全に見られないわけではない点には注意しましょう。
このようにアカウントを分けることで、最低限のプライバシーを保ちながら安心してファイルを管理できる環境を作ることができます。
②表示や操作環境を自分好みにできる
アカウントを分けて使えば、見た目や使い勝手を自分好みにカスタマイズすることができます。
たとえば、
文字の大きさや表示倍率
タスクバーの配置
スタートメニューの表示
フォルダーオプション
など、見た目から操作感まで細かく設定できます。
家族全員が同じ環境を共有すると不便を感じることもありますが、アカウントを分ければ、それぞれが使いやすい設定で快適に作業できます。
③ブラウザの履歴やお気に入りも分けられる
Webブラウザの閲覧履歴、ブックマーク、ログイン情報などもアカウントごとに管理されます。
家族それぞれが自分の使い方に合わせて、ブラウザを個人ごとに使えるのも大きなポイントです。
④権限を分けて安心して使える
代表者だけを「管理者アカウント」にして、他の家族は「標準アカウント」にしておくことで、誤って大事な設定を変えたり、知らないうちにソフトを削除されてしまう、といったようなトラブルを防げます。
このようにアカウントを分けるだけで、プライバシーの確保とトラブル予防ができ、家族全員の使い分けができるようになります。
アカウントの種類と使い分け
Windowsでは「管理者」と「標準」など、アカウントに種類があります。
それぞれの違いやできることの範囲については、以下の記事でまとめています。


「家族」と「その他のユーザー」の違いは?


Windowsでアカウントを追加する際、「家族」と「その他のユーザー」の2種類から選べます。
どちらもアカウントを追加する機能ですが、目的や使える機能が大きく異なります。
家族:
Microsoftファミリー機能が使える
利用時間やアプリ、Webアクセスの制限が設定できる
アカウントの追加にはMicrosoftアカウントのメールアドレスが必要
親(管理者)から子どもの利用状況を確認・制限できる
👉 子どもに安心して使わせたいときに最適です。
その他のユーザー:
Microsoftアカウントでもローカルアカウントでも作成できる
制限や管理機能はないが、手軽に追加可能
一時的な利用者に向いている
管理者が直接制限をかけるには個別に設定が必要
👉 制限が不要な一般ユーザーを追加したいときに向いています。
家庭内でお子さんが使う場合は「家族」での追加が安心です。
単純に共有したいだけなら「その他のユーザー」で十分な場合が多いでしょう。
以下、表にもまとめているので、確認してみてください。
家族 | その他のユーザー | |
---|---|---|
主な用途 | 子どものアカウント管理 | 一般的なアカウント追加 |
管理機能 | 利用時間・Web制限など可能 | なし(個別設定が必要) |
Microsoftアカウント | 必須(メール招待) | なくてもOK(ローカル可) |
管理者からの制御 | できる(ファミリー管理) | できない(制限なし) |
家族・その他のユーザーを追加する手順
では、それぞれのアカウント追加手順を確認していきましょう。
「家族」としてアカウントを追加する手順
設定アプリを開く:
スタートボタン → 「設定」 → 「アカウント」 →「家族」


「メンバーを追加」をクリック:


追加したい人のMicrosoftアカウント(メールアドレス)を入力:
まだアカウントを持っていない場合は、ここで新しく作成可能


「子ども」または「大人」を選択して追加
相手のメールアドレスに招待が届く
本人が受け取り、承認すればファミリーグループに追加される
追加後は保護者アカウントから利用制限の設定が可能
「その他のユーザー」としてアカウントを追加する手順
設定アプリを開く:
スタートボタン → 「設定」 → 「アカウント」 →「他のユーザー」


「アカウントの追加」をクリック:


以下のいずれかを選択:
- Microsoftアカウントを使って追加する→「メールアドレスを入力」
- ローカルアカウントで追加したい場合は
「このユーザーのサインイン情報がありません」→「Microsoftアカウントなしで追加する」


ユーザー名・パスワードを入力して完了
必要に応じて「アカウントの種類」を変更
→ 初期状態では「標準ユーザー」になっていますが、必要があれば管理者に切り替え可能
補足:どちらの方法でも後からパスワードや権限の変更が可能です
ユーザーの削除やアカウントの種類(標準/管理者)の切り替えは、「設定」→「アカウント」からいつでも行えます。
アカウントはどうやって切り替える?
家族でアカウントを分けて使っている場合、それぞれが使うときには自分のアカウントに切り替えてログインする必要があります。
Windowsでは、再起動しなくても、簡単にユーザーの切り替えができます。
アカウントを切り替える基本の方法
✅ スタートメニューから切り替える
画面左下の「スタート」ボタンをクリック
左側のアカウントアイコン(人のマーク)をクリック
表示されたユーザー一覧から、自分のアカウントを選択
パスワードまたはPINを入力してログイン
他のユーザーの作業を終了せずに切り替えるには?
Windowsには**「ユーザーの切り替え(Fast User Switching)」という機能**があり、
他のユーザーの作業を終了させずに、自分のアカウントに切り替えることができます。
✅ ショートカットからの切り替え
Ctrl + Alt + Delete を同時に押して「ユーザーの切り替え」を選択
または Windows + L を押してロック画面に移動し、他のユーザーを選んでサインイン
💡 この方法のメリット
他の人が開いていたアプリやファイルはそのままの状態で保持されます
作業中のデータが消えることなく、あとで元のユーザーが作業を再開できます
サインアウトすべき場合は?
ただし、以下のような場合は切り替えではなく、明確に「サインアウト」してから交代するのがおすすめです。
パソコンの動作が重くなってきたとき
他の人に作業内容を見られたくないとき
セキュリティ上ログイン状態を残したくないとき
✔ ポイントまとめ
操作 | 動作の違い | おすすめの場面 |
---|---|---|
切り替え(ユーザーの切り替え) | 他のユーザーの作業状態は保持される | 家族で交代しながら使いたいとき |
サインアウト | 前のユーザーの作業が終了・ログアウトされる | パソコンの動作が遅いときや安全を確保したいとき |
ユーザーの切り替えをうまく使えば、1台のパソコンでも家族それぞれが安心して作業を続けることができます。
使い終わったときは、できるだけサインアウトしておくとより安全です。
絶対に見られたくないデータはどうする?
家族で共有するパソコンでは、アカウントを分けても完全にプライベートな空間を作るのは難しい場合があります。
とくに、大きなデータ(動画や大量の写真など)で、他の人に見られたくないものは、保存場所に注意が必要です。
現実的な対策
外付けHDDやUSBメモリを利用するのもひとつの方法です。
- 必要なときだけ接続して使う
- 普段は外しておけば他の人に見られる心配がない
- 保存容量も大きく、データの管理がしやすい
このように、大きなデータで完全にプライベートにしておきたい場合は、外付けストレージを活用するのが現実的です。
まとめ
家族でパソコンを共有する場合は、次のポイントを押さえましょう。
アカウントを分けて使うことで、データの混在や誤操作を防げる
管理者アカウントは1人だけにし、他の家族は標準アカウントを使うのが基本
Dドライブなど共通の領域は注意が必要。完全にプライベートにしたいデータは外付けHDDを活用するのも有効
こうした工夫をすることで、家族みんなが快適に、そして安心してパソコンを使える環境を作ることができます。